こんにちは、もちです。
先日ある本を読みました。
それは、『2040年の未来予測』です。
2021年1月12日に出版されたばかりのこの本ですが、著者の方は成毛眞さんという元日本マイクロソフトの社長さんです。
ビジネスにアンテナを張っている方は名前を知っている方も多いかもしれません。
それにしても、「知っている人だけが悲劇を避けられる」というあおり文には、なんだなんだと焦りますね。
この本の要約、そして私たちに近づきつつある悲劇とは何なのか、普段ビジネス・経済書をあまり読まない方にもわかりやすく解説してみました。
著者・成毛眞さんとは?
まず本の内容に入る前に、著者の成毛さんについてもう少し詳しく紹介しておきたいと思います。
成毛眞(なるけ まこと)さんは、1955年生まれで北海道出身、御年65歳。
日本マイクロソフトの代表取締役に就任したのが1991年のことなので、なんと35~6歳で社長になっています。
そう思うと凄さがわかりますよね。
また、成毛さんは多作な方で、『2040年の未来予測』以外にも数々の本を発表しています。
代表作としては『勉強上手 好きなことだけが武器になる』や、『このムダな努力をやめなさい』あたりでしょうか。
かなり年長の方というイメージがありますが、世の中を鋭く素早く捉える目は若者に負けていません。
『2040年の未来予測』の要約
それでは本題の、『2040年の未来予測』の要約です。
『2040年の未来予測』は4章構成になっているので、章ごとに要約・解説していきます。
chapter#01 テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする
成毛さんは、この本の序文でもテクノロジーについて触れていますが、一貫しているのは次の主張です。
新しいテクノロジーが出たとき、世の大多数は否定的である。それを大衆という。
『2040年の未来予測』より
世界を変える可能性に気づく人間は少ない。
自動車も、飛行機も、スマートフォンさえも、出てきた当初はバカにされていたと言います。
確かに私もスマホが出てきたときには「ガラケーの方が使いやすそうだな」と思っていましたが、今ではスマホは手放せなくなっています。
そしてもう一つの前提が、「100年前から現在にかけて、世界は大きく変わっている」ということ。
100年前というと想像できないかもしれませんが、当時アインシュタインが来日し、京都から東京まで特急に乗った際は10時間かかったそうです。
その頃から世界はテクノロジーの進歩により大きく姿を変えており、現在日本や世界で起こっている様々な問題も、テクノロジーによってのみ解決しうるということを成毛さんは言っています。
たとえば、RFIDといった技術。
RFID(Radio Frequency IDentifier)とは、情報の入ったチップを無線通信によって自動認識するシステムのことです。
日本ではユニクロがいち早く取り入れており、ユニクロではセルフレジで商品カゴを台に置くと、レジが自動認識によって何がカゴに入っているかを読み取り、バーコードなどで商品情報を入力せずに済むようになっています。
あれはRFIDが製品に埋め込まれているから可能になっているのです。
少子高齢化が進み人手不足が深刻化してくる日本にとっては、あらゆる作業の自動化は急務となっており、RFIDの普及が期待されます。
RFIDの他にも、5Gや6G、全固体電池、さらには空飛ぶクルマまで、あらゆるテクノロジーのことについて書いてあるので、技術方面の知識が弱い人は読んでおいて損はないでしょう。
chapter#02 あなたの不幸に直結する未来の経済―年金、税金、医療費
「不幸に直結する」と言われるとゾッとしますが、やはり日本では避けて通れないのが少子高齢化。
日本の借金は世界一ですが、支出を減らそうにも、高齢者が増加することで医療や介護、年金などの社会保障費は膨らむ一方です。
これを解決するための策として期待されているのが、やはりテクノロジーです。
AIによる診療や遺伝子治療などが進んでいけば、医療費の削減に効果が期待できます。
また成毛さんは年金のことに関して、「老後2000万円問題を正しく理解する必要がある」とも言っています。
具体的な試算は本書を読んでもらえれば載っていますが、要は「今と同じ額の年金をもらいたければ、70歳まで働く必要がある」ということです。
また、財政難を解決するための対応策として、保険料を漏れなく徴収するということも挙げています。
日本では保険料の徴収漏れが非常に多く、額にしておよそ5~10兆円ほどあると言われているため、ちゃんと徴収できれば一つの財源になるとのこと。
お先真っ暗なように感じられますが、少し希望(?)もあるようです。
他にも本章で成毛さんは「民間の保険には入らない方がいい」「資産形成したいならインデックスファンド」といったようなお話をされています。
chapter#03 衣・食・住を考えながら、未来を予測する力をつける
私たちにとって欠かせない衣食住ですが、この分野は最も変動が大きく、未来予測が難しいと成毛さんは指摘します。
ただしその前置きの上で、現在からも予測できることはあり、できる限り準備して状況に対応していくべきだということを本章では述べています。
まずは、食の問題。
今後世界で食糧不足が深刻化していく中で、注目されているのが代替肉や培養肉、培養魚、昆虫食といった新時代の食糧です。
最初はクオリティが追いつかず、味に満足のいかないものが多かったのですが、現在ではだいぶ味も美味しくなり、受け入れられつつあります。
次に、住まいの問題。
これからの日本では住宅が飽和状態となり、都市部などを除いて不動産の価値はどんどん下がっていきます。
良くも悪くも、買いやすくなってくるということです。
そして、これからの日本ではシェアリングがどんどん浸透していきます。
シェアリングとは、物を所有するのではなく、みんなでシェア(共有)するということ。
メルカリなどのフリマアプリや服・バッグなどのサブスクリプション、カーシェアやシェアサイクルなど、「持たない」ということがスタンダード化していくのです。
これには、日本が貧しくなっているという背景も大きく関係しています。
chapter#04 天災は必ず起こる
日本はなんといっても災害大国。
地震や台風、大雨などは日本に住んでいれば避けて通れません。
ここにも、持てる限りのあらゆる知識や技術を使ってリスクヘッジをするべきだ、と成毛さんは最終章で伝えています。
特に、未曽有の災害が次々と起こる中で、自治体などの判断に任せるべきではなく、自分の身は自分で守らなければならないということです。
また地球規模でも温暖化が進むことにより、食糧不足や水不足が目立つようになり、資源をめぐった争いも各地で起こると警鐘を鳴らしています。
これからの時代を生きるためには、そういった可能性を視野に入れながら未来を考えていく必要があるのです。
まとめ
成毛さんがこの本で一番言いたかったのは、やはり「今後の未来を切りひらくにはテクノロジーがカギとなる」ということだと思います。
また、どんなテクノロジーがあるかなどをある程度知っておくことも、少なからず私たちの身を助けるのではないでしょうか。
名前しか知らなかったようなテクノロジーの話もちらほらあり、非常に勉強になりました。
『2040年の未来予測』は、YouTubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」でもわかりやすく解説されています。